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坂口征二が新日本プロレスから「引き抜き」を打診されていた真相

坂口征二が新日本プロレスから「引き抜き」

坂口征二は、斜陽の日本プロレスに見切りをつけ、若手数人を引き連れて新日本プロレスと合流したのが1973年3月。その前年の秋には、マサ斎藤らがセットしてアントニオ猪木・坂口征二の話し合いが持たれたというのが昭和プロレスとしての通説ですが、実は、アントニオ猪木が新日本プロレスを設立して間もなく、坂口征二には声がかかっていたことを坂口征二自身が認めている、という話です。



『東京スポーツ』(2009年10月21日付)の坂口征二の連載は、坂口征二がUN選手権奪取と新日プロ引き抜きを述懐する件になっています。

まず、坂口征二がロサンゼルスに飛び、アントニオ猪木が返上し、その時点でキング・クローが保持しているユナイテッドナショナル選手権を奪還して帰国する件が書かれています。とき1972年2月11日。

この時点で私は、クローがどんな選手なのか知らない。「元NWA世界王者のジン・キニスキーの秘蔵っ子らしい」程度の情報は聞いていたが、具体的にはサッパリ分からない。
 ロスで合流したミスター・モトさんは「NWA世界王者のドリーを100としたら、80程度の選手ヨ。サカが思い切り行けば必ず勝てる」とハッパをかけてくる。
 私と入れ替わりで米国修行に出発し、社長と同じ「ヨシノサト(芳の里)」のリングネームでデトロイト地区で活躍中だった高千穂明久(後のグレート・カブキ)がロスへと駆けつけ、セコンドを買って出てくれた。
 モトさんの指示通り、あえて気負わず戦うことを心がけた。1本日こそクローの肉弾ボディープレスに3カウントを許したが不思議ど焦りはない。2本日はジャンプしてのスリーパーホールドから必殺のアトミックドロップ6連発でフォール。
 3本日はある程度、クローの攻撃を見切れていた。1本日と同じく、仕掛けてきたボディープレスを自爆させ、そのままアルゼンチン式背骨折りで担ぎ上げてギブアップを奪った。レフェリーのレッドシューズ・ドゥーガンから勝利を告げられ、セコンドの高千穂と抱き合って勝利を祝う。プロ入り5年目にして、ついに初のシングル王座を事にした。

すでに、前年12月には、吉村道明とともにアジアタッグ選手権をとっているので、これで坂口征二は2冠王です。

もともと、ユナイテッドナショナル選手権(UN選手権)というのは、NET(現テレビ朝日)のテレビ中継のエースであるアントニオ猪木のために日本に持ち帰ったタイトル。

NETは猪木の抜けた穴を坂口で埋めるつもりだったので、どうしてもこのタイトルは取り戻したかったのでしょう。

その意味で、タイトル「奪還」は何よりですが、注目すべきは、坂口征二がこの時点で、実は新日本プロレスに誘われていたことを述懐しているのです。

控室でも諸先輩から若手選手まで、船出した猪木新日本の話題一色となっていた。
 皆「一体、猪木はどこまでやれるのか?」と高みの見物といった感じではあったが、私はこの短期間で私財を投じつつ道場と合宿所を造り、旗揚げ戦までこぎつけてしまった猪木さんの行動力に驚かされていた。
 猪木さんが去った後、徐々にだが会場の客足が落ちてきたのも確かだ。決して高みの見物をしている場合ではない。
 実はこの時期、人を介して「一緒にやらないか?」と誘いを受けたこともあった。その時、私は「今の自分は日プロを守ることで精一杯で」と断らせていただいた。だが、この現状に不安も感じず“上から目線”で新日本の旗揚げをやゆする日プロ勢の姿勢に、やや不安も感じ始めていた。

しかし、この頃、アントニオ猪木はマスコミを通して、「坂口征二などは片手で何分」と口げんかしていたはずです。

だが、裏ではちゃっかり引き抜きをしていたわけです(笑)

アントニオ猪木は、リング以外でも「プロレス」をやっているとともに、プロレスマスコミは、しょせん業界側で協力者であるということがわかります。

そして、ジャイアント馬場が、なぜ坂口征二を誘わなかったのか、という点についても、これで何となく納得がいきます。

たぶん、ジャイアント馬場は、新日本プロレスが坂口征二を誘っていたことは知っていたのではないでしょうか。

裏切りや陰口などに対して、慎重で不寛容で神経質なジャイアント馬場としては、そういう話があったという時点で、坂口征二自身に恨みはないものの、坂口征二は連れて行く対象から外れたのではないでしょうか。

我が心のジャイアント馬場―完全保存版 (日刊スポーツグラフ)

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  • 作者:
  • 出版社/メーカー: 日刊スポーツ出版社
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